谷川俊太郎さんZurichに来る

2008年05月28日

私が朗読セッションというものを初めて聞いたのは、
谷川俊太郎さんと息子さんの賢作さんお二人のものだった。

”朝のリレー”とう題のコーヒーの広告はその年、賞をとって
記念にお二人が舞台に立った。

広告の授賞式をいうと、人の出入りが多くザワザワしたものなのだが、
その瞬間、そのホテルで一番広い会場もシンとして聞き入ったのに驚いた。
賢作さんのピアノにのせて、俊太郎さんの朗読する詩は
”ポエムではなく、うた”だった。
今思い出してもちょっと鳥肌がたつ。

さて今回の催し。
作曲家であり、ギタリストであるWalther Gigerさんが
谷川さんの詩を気に入り曲をつけたのだそうだ。
会場となった美術館の一室は立ち見が出るほどの大盛況。

1部はバイオリンとギターとコントラバスのミニコンサート

2部は谷川俊太郎さん ソプラノ歌手とバイオリンとコントラバス

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谷川さんが朗読して、歌になる。
谷川さんの声は相変わらず耳触りがよくて、
眼を閉じていても沁み入るようだった。詩のひとつひとつに命が入る。


代わって、歌。哲学的でもある言葉の一つ一つに節がついていくことは不思議な気がした。
スイス人はどのように感じているのだろう。

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「けいとのたま」が一番盛り上がったけれど、なんだか少しもやもや。

公演後のアペロでも高揚したお客さんに囲まれ谷川さんはにこやかにたんたんとしていらした。
その居住まいに「またいらして、ゆっくり読んでください」と遠くから念を送る。

ちょっと怖いぞ私。でも少しすっきりして席を立てた。