パリの新しい名所はここらしいぞ。

2006年09月28日

パリの友人潤子さんからアート情報。

 6月にオープンしたパリの新名所、ケ•ブランリーは、シラク大統領が引退前に手がけた一大プロジェクト。アジア、オセアニア、アメリカ、アフリカの4地域のプリミテリブ•アートを結集させたミュージアムだ。パリ中の美術館に散らばっていた古今東西のお宝を結集させただけあって、その数は膨大。薄暗くライトアップされた細長い展示フロアの中央には土壁を模した曲線のしきりが設けられ、古代のオブジェに囲まれて歩いていると気分は砂漠の民、ベドウインのよう。
 
内容は美術館というより博物館といった趣で、そこには生活の美が息づいている。
古代ポリネシアの戦闘品、祭りに使われるマスクや装飾品、楽器などは、
1個人が作成したアートではなく、多くの人が宗教や神話に基づいて心のよりどころにしていた魂の象徴だ。アフリカの巨大な彫刻はキュービズム時代のピカソを彷彿とさせるし、なかには思わず吹き出したくなるようなコミカルでシュールな表情をもった彫像もある。個人的にはアフリカ(主に南米)のブースが印象的だった。アマゾンやアメリカ•インデイアンの衣装に使われていた鮮やかな羽使い、ペルーやメキシコの素朴なタペストリーは現在のモードにも多大な影響を与えているのが分かって面白い。
またロシア周辺のシベリア、アイヌなど、辺境といわれる地域までカバーしているに及んで、まさに世界一周した気分になる。
インドやベトナムの民芸品あたりになると日本人としては親近感を覚えてしまうが、
ここに来た人は皆、自分のルーツを無意識に探すことになるのではないだろうか。
 
また見所の一つでもあるのが美術館じたいの建築。
オープン前から話題だったジャン•ヌーヴェルによるデザインはガラス張りの外壁、
巨大な箱が飛び出したような構造、ユニークな庭園などモダン建築ファンにも必見。
現在はまだ草もまばらな庭園だが、年月とともに緑豊かに変わっていくのを見るのも
楽しみだ。(美術館の南側にある地下の展示スペースには現代アートの展示もあるので、ここも要チェック)。

その他の施設としては、写真集などを自由に閲覧できるライブラリー、関連書籍や写真集、絵本、小物、CDが豊富なミュージアム•ショップが充実している。
また5階にある予約制レストランLES ONBRESはオープンテラスになっていて、
夜はライトアップされたエッフェル塔を間近に望む絶景ポイント。
一方、1階敷地内にあるカフェは軽食に飲み物とカジュアルだが、ここからも庭園とエッフェル塔がばっちり見えるので是非窓際の席をお薦めする。

セーヌ河岸に現れた巨大なコレクションの館は、ルーブル、オルセー、ポンピドウに続くパリの名物美術館になり得るか、それは21世紀を生きる私たちの目に委ねられている。

musee du quai Branly
222 rue de l'Universite 75007 Paris
tel:01 56 61 70 00
www.quaibranly.fr
メトロ:9番線Iena、Alma Marceau、6番線Bir Hakeim
RER:C線Pont de l'Alma

今年1月私は南米ペルーに行った際、プレ・インカ、インカの土器類や織物などを展示してある
リマの「天野博物館」を訪れた。
どれもが愛らしく、あざやかな色彩でデザイン性も豊かなのだ。

”プリミティブ・アート”は芸術的うんちくが苦手な人も楽しめるから素敵。
「これウチに飾りたいよ。欲しいよ。」という不届きな”アドレナリン”がついつい出てしまうのを
気をつけなきゃ。
「ケ・ブランリー」あーどうか長蛇の列が出来ていませんように・・・。